スタンフォード・トーラス(1975 NASA)は1万人が暮らす宇宙居住施設の設計だった。同じ原理を地上に実装する。SMALL HOUSEという最小単位を核に、リング状に拡張し続けるモジュラー居住システム。
1975年、NASAエイムズ研究センターとスタンフォード大学は「宇宙居住施設の設計」という研究プロジェクトを実施した。その成果が「スタンフォード・トーラス」——直径1.8kmのドーナツ型回転構造体に1万人が暮らす設計だ。
この設計の核心は「モジュラー性」と「閉循環」にある。同じユニットを繰り返し積み重ね、内部で食料・エネルギー・空気・水を循環させる。外部への依存をゼロにする。これを地上に実装するのがSMTLV(Soluna Modular Torus Living Vessel)構想だ。
北海道弟子屈。広大な土地と豊富な森林。厳しい冬。この環境が、閉循環コミュニティを鍛える最高の試験場になる。
SMTLVの原則:最小単位(SMALL HOUSE)から始め、失敗しながら拡張する。一気に1万人を目指すのではなく、1人→10人→100人→1,000人→10,000人と、各段階で技術と社会設計を検証する。
各レベルは独立して機能し、次のレベルへの移行は「十分なリソースと意志があるとき」だけ行う。失敗は小さなスケールで吸収できる。
スタンフォード・トーラスが解いた問題は「閉循環」だ——エネルギー・食料・水・空気をシステム内で完全に循環させる。これを地上でどう実装するか。すべてのレイヤーを自作・自制御する。
| 人口 | 5,000〜10,000人 |
| トポロジー | 多重リング(スタンフォード型) |
| 居住単位 | MINIMUM/SMALL × 2,000+棟 |
| エネルギー | 太陽光 + バイオマス自給(10MW+) |
| 食料 | 自給率 90%+(垂直農場+露地) |
| 換気制御 | 自作HVAC メッシュ(全棟統合) |
| 水 | 雨水完全閉鎖循環 |
| 輸送 | 電動自転車 + 内部軽量鉄道 |
| 構造 | 木造軸組(在来)+ CLT |
| 建設期間 | 20〜50年(段階的) |
MINIMUMの自作HVACスタック(ESP32-S3 + RP2040 + STM32G0)は、最初から「スケール」を念頭に設計されている。MQTTブローカーを中央に置き、各棟のノードがデータを送り続ける。棟数が増えるほど、コミュニティ全体の空気品質モデルの精度が上がる。
コスト優位:市販のBASシステム(Building Automation System)をLevel 5に導入すると数十億円。自作スタックなら、MCUコスト(1セット¥5,000)× 6,000 = ¥3,000万で実現できる。そのうえ、すべてのコードを自分たちで管理できる。
理論だけでは何も始まらない。LEVEL 1は「1人が1年以上快適に暮らせる家を北海道弟子屈の土地に建てること」だ。この1棟がSMTLVの試験台になる。失敗は小さい規模で吸収できる。