LIFE

柔術と建築の
意外な共通点

柔術を10年やってきて、ある日気づいた。グラップリングの原理と、建築の構造計算は、同じ問いを別の言語で解いている。

柔術の根本は「力ではなく、構造で相手を制する」ことだ。体重100kgの相手を、体重70kgの自分が制するには、筋力ではなく、てこの原理と関節の構造を使わなければならない。相手の力を利用して、自分の軸を安定させ、相手の軸を崩す。これは物理の問題だ。

建築も同じ問いを解いている。重力という「力」に対して、どうやって「構造」で抵抗するか。梁と柱の接続点、屋根荷重の伝達経路、基礎と地盤の関係——全部、力をどう制御するかの設計だ。

軸とポジション

柔術でまず学ぶのは「軸の安定」だ。どんな状況でも、自分の重心を安定させ続けることが、すべての技の前提になる。相手に引っ張られても、押されても、重心が崩れなければ対応できる。

建築の基礎設計も同じ考え方だ。建物の重心——正確には「剛心(ごうしん)」——と、地震力の作用点が一致しないと、建物は捩れて倒れやすくなる。耐震壁の配置は、剛心をコントロールする技だ。柔術の軸安定と、建物の剛心管理は、同じ問いを別のスケールで解いている。

柔術のポジションと建築の構造は、どちらも「力の流れを制御すること」だ。言語が違うだけで、問いは同じだ。

柔術には「ポジション」という概念がある。バックマウント、マウント、サイドコントロール——相手との位置関係が、持てる選択肢の数を決める。ポジションが悪ければ、どんな技を知っていても使えない。逆に、ポジションが良ければ、力がなくても技が通る。

TAPKOPの設計を見たとき、建築にもポジションがあると感じた。建物の向き、開口部の位置、動線の設計——これらは「体験の選択肢の数」を決めるポジションだ。デッキから摩周湖が見えるか見えないか。風呂から星空が見えるか見えないか。これは配置の問題であり、ポジションの問題だ。

失敗から学ぶサイクル

柔術の上達は「負けること」から始まる。相手に技をかけられて、なぜ効いたかを分析して、次の稽古で試す。負けのフィードバックが学習を駆動する。道場では「タップ(負けの合図)」が文化として定着している。タップすることに恥はない。タップしないで怪我をすることが愚かだとされる。

建築の設計プロセスも、失敗から学ぶサイクルだ。PAN-PROJECTSとTAPKOPの設計を詰めていったとき、何度も「これは違う」という判断があった。断熱材の仕様、窓の位置、薪置き場の場所——現地に立って初めて分かることが、CAD上ではわからない。試作して、評価して、修正する。

VUILDのデジタルファブリケーションが面白いのも、この理由だ。CNCルーターで削り出すパーツは、設計ファイルを変えれば翌日には別のパーツに変わる。建築の「タップしてリトライ」が、デジタルファブリケーションで可能になった。

柔術道場としてのTAPKOP

TAPKOPに柔術のDOJOを作る計画がある。北海道の敷地に、柔道畳を敷いた稽古スペースを設ける。弟子屈という場所で柔術をすることには、意味がある。

都市の道場は、稽古が終われば電車に乗って家に帰る。次の稽古まで1週間空く。TAPKOPでは、稽古して、温泉に入って、食事して、また稽古する、というサイクルが作れる。合宿の密度で、でも3日以上続く環境。

合宿の密度で、でも3日以上続く。TAPKOPの柔術DOJOで起きることを、まだ想像できていない。

柔術は身体の言語だ。頭で理解することと、体が動くことの間には、何千回もの繰り返しが必要だ。TAPKOPで朝の稽古をして、自然の中で頭を休めて、また夕方に稽古する——この密度で過ごした数日間が、1ヶ月の道場通いに匹敵するかもしれない。

柔術と建築が共通して教えること。それは「構造が先で、力は後から来る」ということだ。力任せにやっても、構造が悪ければ崩れる。どちらの分野でも、美しい解法は力が最小で、効果が最大だ。SOLUNAを作るとき、同じ原則を使っている。

建物の内部空間

TAPKOPの空間設計。構造と体験が重なる場所。

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濱田 優貴
Enabler Inc. CEO / DJ / 柔術茶帯
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