SOLUNA — SIPs 自作ガイド
工場でプレカット済みのパネルを4人で起こし、発泡ウレタンで塞ぎ、焼杉を貼る。それだけだ。職人技術は要らない。必要なのは人手と5日間。
01 · できること・できないこと
SIPsの「自作」とは、工場で作ったパネルを自分たちで組み立てること。材料加工は不要で、現場作業は「並べる・塞ぐ・貼る」の繰り返しだ。
結論:電気・基礎・配管を外注すれば、残り8割の工程は素人でもできる。外注費は合計で¥50〜80万程度。それでも業者一括よりも¥100〜150万安くなる。
02 · 必要な道具
特殊な工具は何もいらない。ホームセンターとネットで全部揃う。既に持っている工具が多ければ、ほぼゼロ円で始められる。
03 · 5日間プラン
26m²(3.6×7.2m)1ユニットの工程表。4〜6人チームの場合。天候・習熟度によって±1日変動する。
鋼管杭業者が打設した杭天端の水平を確認する。±3mm以内に収まっているか。誤差があれば鋼板でシム調整。土台材(105×105 防腐処理)を杭に載せてアンカーボルト位置を確認。
杭天端に土台材を固定したら、床SIPsパネル(厚100mm)を並べていく。パネル端部に発泡ウレタンを打ち、隣のパネルと突き合わせて、スパインを差し込む。ビスで上からOSBに固定。
この工程が終わると「作業床」が完成する。翌日からは高さのある作業になるため、この段階で足場材・チェーンブロックの設置位置を確認しておく。
1日で最も重要かつ興奮する工程。壁パネル1枚あたり約200〜350kg。チェーンブロックで吊りながら、4人が各コーナーを支え、1人がビスを打ち、1人が水平垂直を確認する。
角から始めてコーナーを固め、直線壁を順に建てていく。全壁が立ち上がった瞬間、箱型の躯体が現れる。これがWork Partyの「建てた」という瞬間だ。
屋根パネル(厚200mm)を壁天端に載せる。最も重い工程。1枚あたり300〜500kg。単管足場を組み、チェーンブロックで慎重に吊り上げる。無理せず外注してもよい工程。
全パネルが固定されたら即日、透湿防水シート(タイベックハウスラップ)を全面に貼る。この日の夕方〜夜に雨が来ても問題ない状態にする。
通気胴縁(18mm厚 縦張り)をビスで外壁に固定し、その上に焼杉を縦張りしていく。ネイルガンで1枚2秒。午前中でほぼ全面が貼れる。
午後はサッシ建て込み。開口部に水切りを施工してからサッシを入れ、外周を防水テープで巻いて水密処理をする。
気密測定器(ブロアドア)でC値を測定する。1.0を超えていたら接合部を再チェック。SIPsは正しく施工すれば0.5以下が出る。測定後、電気・配管業者に引き渡し。
電気・配管は丸投げでいい。SIPsのチェイス(電線管路)は工場加工済みで、電気業者が来たら「差し込むだけ」の状態になっている。外注費は¥30〜50万。自分でやる時間と資格取得コストを考えると、外注の方がトータルで安い。
04 · 焼杉を自分で作る
焼杉(Shou Sugi Ban)は「杉板をバーナーで焼いてブラシをかける」だけ。材料費は¥1,000/m²以下。業者に頼むと¥5,000/m²以上するから、DIYで最も費用効果が高い工程の一つだ。
プロパンバーナーで表面全体を均一に焼く。焼きすぎると割れる。20〜30秒/面が目安。
焼いたら水洗い→ブラシがけ→亜麻仁油。30年以上メンテ不要の外装が¥1,000/m²で完成。
26m²の建物で必要な外装材は約30〜40m²。杉板材料費で¥1.5〜2万。バーナーガスが¥3,000程度。Work Partyの半日イベントとして全員で焼けば、建物に対する愛着が全く変わる。
05 · 断熱材アップグレード
標準SIPsのEPSコアは気密性が高い代わりに湿気を通さない。北海道の高湿度環境では、調湿性能のある素材に変えることで結露リスクを下げながら室内環境を格段に快適にできる。
MBV(Moisture Buffer Value)とは
素材が24時間で吸放湿できる水分量の指標(g/m²/%RH)。数値が高いほど湿度の変動を平滑化する。
SOLUNAの選択:コアSIPsパネルはEPSのまま構造性能を維持し、内側の仕上げ層(珪藻土 or 漆喰)とセルロース吹き込みの組み合わせで調湿を確保する。全部をやり直す必要はない。レイヤーで対応する。
06 · 格安アップグレード5選
断熱と気密が決まれば、あとは「仕上げ」だ。高い素材を使わなくても、正しい素材を正しい場所に使えば空間の質は大きく変わる。
既調合の珪藻土(ライムワークス、シラス壁など)はコテで塗るだけ。初心者は「なめらか仕上げ」より「刷毛引き」の方が簡単で味が出る。26m²なら壁全面で50〜70m²、材料費は合計¥10〜15万程度。
SIPs小屋は高断熱なので小型(5〜8kW)で十分。煙突は二重断熱管を使うこと(内部結露でタールが垂れるのを防ぐ)。薪はWork Partyで山から切り出せば燃料費ゼロ。
道産スギ(厚30mm)なら¥3,000/m²前後。26m²で床面積約20m²、材料費¥6〜8万。釘打ち工法(フローリングネイル)でDIY可能。塗装は蜜蝋ワックスを推奨(補修も蜜蝋を塗るだけ)。
壁の内側 or 床下に竹炭ボードを1枚敷く。調湿・消臭・ホルムアルデヒド吸着。ホームセンターで¥500〜1,000/枚。26m²なら床下に10〜15枚で十分。
壁の高い位置に小窓を1〜2枚追加。開閉式にすると「暖かい空気が上から抜ける」自然換気が成立する。エアコン不要の季節が増え、カビリスクが下がる。
順番は:断熱→気密→換気→調湿仕上げ。この順が崩れると、調湿材を入れても意味がない。まず箱を作り、塞いで、呼吸させる。それから素材に投資する。
07 · 費用内訳
26m²ユニット(3.6×7.2m)の場合。基礎(杭)・電気・配管は外注前提。それ以外を自作した場合のコスト比較。
自作による節約額:¥100〜160万
Work Party 1回で1棟分の節約が生まれる。節約分がそのまま次の棟の材料費になる。
08 · 法的事項
弟子屈・釧路管内での建築に関する主な法的要件。SOLUNAが確認済みの事項を整理した。ただし個別案件は必ず専門家に確認すること。
10m²を超える建物は確認申請が必要。SOLUNAの標準ユニット(26m²)は対象。設計図面を作成し、確認検査機関に申請する。費用:¥5〜10万。設計士に依頼すれば図面作成込みで¥20〜30万。
弟子屈の対象地は農地転用済み or 原野扱いの土地。農地の場合は農地転用許可(農業委員会)が先決。SOLUNAの美留和グランド用地は転用手続き済み。
一般住宅の電気配線(分電盤〜コンセント・照明)は資格者のみ施工可。SOLUNAオーナーで取得を目指す人は歓迎。学科+実技で取得まで3〜6ヶ月。受験費用:¥9,600。実技材料:¥2〜3万。
宿泊料を取るには旅館業法の簡易宿所営業許可、または住宅宿泊事業法(民泊法)の届出が必要。弟子屈町は民泊条例の確認要。SOLUNAは運営会社(Enabler)が一括取得。個人棟は取得不要(委託運営のため)。
北海道は省エネ法地域区分 1〜2地域。外皮性能基準(UA値0.46以下)が求められる。SIPs 150mmはUA値0.3前後を達成できるため基準を大幅にクリア。省エネ計算書は確認申請に添付。
上記は参考情報です。建築確認・農地転用・旅館業法の手続きは行政によって異なります。必ず建築士・行政書士・管轄行政窓口に確認してください。 SOLUNAは設計士と連携した申請サポートを提供する予定です。
SOLUNA — Work Party
¥100万を節約することより、
自分の手で建てたことの方が
ずっと長く記憶に残る。