SIPs壁パネルを仲間と起こす — Work Party

SOLUNA — SIPs 自作ガイド

自作、できる。

工場でプレカット済みのパネルを4人で起こし、発泡ウレタンで塞ぎ、焼杉を貼る。それだけだ。職人技術は要らない。必要なのは人手と5日間。

26m² · 5日間 · 4〜6人 · ¥200万台 で建つ

01 · できること・できないこと

正直に言う。8割は自作できる。

SIPsの「自作」とは、工場で作ったパネルを自分たちで組み立てること。材料加工は不要で、現場作業は「並べる・塞ぐ・貼る」の繰り返しだ。

5日
躯体〜外装
完成目安
4〜6人
必要な
作業人数
¥200万〜
材料費
(26m²)
2種
必要な
国家資格
作業工程
素人 OK?
難易度
基礎確認・墨出し
杭天端の水平確認、土台位置マーキング
◎ できる
★☆☆☆☆
床パネル設置
パネルを並べてビス留め、発泡ウレタン充填
◎ できる
★★☆☆☆
壁パネル建て方
4〜6人で起こして固定。最も重要な工程
◎ できる
★★★☆☆
屋根パネル設置
重量物の高所作業。仮設足場と2人以上で
△ 要注意
★★★★☆
気密テープ施工
パネル接合部を連続気密テープで処理
◎ できる
★★☆☆☆
防水ルーフィング
屋根の透湿防水シート張り
◎ できる
★★☆☆☆
焼杉外装取付
通気胴縁→焼杉縦張り。ネイルガン使用
◎ できる
★★☆☆☆
サッシ建て込み
開口部へのサッシ設置・水切り処理
△ 練習要
★★★☆☆
電気配線
分電盤〜コンセント・照明の配線
✕ 資格必要
第二種電気工事士
給排水配管
給水・排水・衛生設備の接続
✕ 資格推奨
管工事施工管理技士
鋼管杭打設
凍結深度対応の基礎工事
✕ 機械必要
専用重機・外注

結論:電気・基礎・配管を外注すれば、残り8割の工程は素人でもできる。外注費は合計で¥50〜80万程度。それでも業者一括よりも¥100〜150万安くなる。

02 · 必要な道具

工具代、全部で¥15万以下。

特殊な工具は何もいらない。ホームセンターとネットで全部揃う。既に持っている工具が多ければ、ほぼゼロ円で始められる。

SIPs自作に必要な道具一覧

左から:空圧ネイルガン、発泡ウレタンガン、SIPsスパイン(接合材)、気密テープ、コードレスドリル、ゴムハンマー

空気圧ネイルガン + コンプレッサー
OSBへのビス打ちを高速化。手打ちの10倍速い。必須アイテム。
レンタル ¥5,000/日 or 購入 ¥2〜4万
発泡ウレタンガン + カートリッジ
パネル接合部へのシール充填。気密ライン形成の核。1棟あたり10本程度必要。
ガン ¥3,000 / カートリッジ ¥600×10本
コードレスドリルドライバー × 2台
パネル固定ビス打ち。バッテリー2台あれば交互使いで止まらない。
¥1.5〜3万/台
気密テープ(シルバー)
パネル内側の接合部を全て連続で貼る。C値を決定する最重要消耗品。
¥2,000/巻 × 10巻
チェーンブロック + 単管足場
壁パネル(200〜400kg)を起こすための吊り道具。レンタルで十分。
レンタル ¥3,000/日
ゴムハンマー + 木ダボ
パネル接合部の微調整に使う。プラハンでも代用可。
¥2,000〜3,000
レーザー水平器
床・壁の水平垂直確認。これがあると一人でも精度が出せる。
¥5,000〜1.5万
丸鋸(充電式)
現場でのOSB・焼杉カット。パネル自体はプレカット済みなので補助的に使う。
¥1.5〜3万

03 · 5日間プラン

月曜に始めて、金曜に屋根が閉まる。

26m²(3.6×7.2m)1ユニットの工程表。4〜6人チームの場合。天候・習熟度によって±1日変動する。

0
Day 0(搬入前)
基礎確認 + 材料チェック
作業人数:2人 / 所要:半日

鋼管杭業者が打設した杭天端の水平を確認する。±3mm以内に収まっているか。誤差があれば鋼板でシム調整。土台材(105×105 防腐処理)を杭に載せてアンカーボルト位置を確認。

  • 杭天端 水平確認(レーザー水平器)
  • 搬入パネルの個数・寸法確認(工場出荷票と照合)
  • 発泡ウレタン・気密テープ・ビスの在庫確認
  • 当日の風速確認(壁起こしは風速5m/s以下が目安)
1
Day 1(月曜)
土台 + 床パネル設置
作業人数:4人 / 所要:6〜8時間

杭天端に土台材を固定したら、床SIPsパネル(厚100mm)を並べていく。パネル端部に発泡ウレタンを打ち、隣のパネルと突き合わせて、スパインを差し込む。ビスで上からOSBに固定。

この工程が終わると「作業床」が完成する。翌日からは高さのある作業になるため、この段階で足場材・チェーンブロックの設置位置を確認しておく。

  • 土台材 アンカーボルト固定(M16、トルク管理)
  • 床パネル配置・発泡ウレタン充填
  • スパイン(連結金物)差し込み・ビス固定
  • 床上面 気密テープ全接合部に施工
  • 翌日用チェーンブロック仮設位置確認
SIPsパネル設置作業
2
Day 2(火曜)← メインイベント
壁パネル 建て方
作業人数:6人推奨 / 所要:8〜10時間

1日で最も重要かつ興奮する工程。壁パネル1枚あたり約200〜350kg。チェーンブロックで吊りながら、4人が各コーナーを支え、1人がビスを打ち、1人が水平垂直を確認する。

角から始めてコーナーを固め、直線壁を順に建てていく。全壁が立ち上がった瞬間、箱型の躯体が現れる。これがWork Partyの「建てた」という瞬間だ。

  • コーナーパネルから着手(4隅を先に固める)
  • 各パネル間に発泡ウレタン → スパイン → ビス固定
  • 垂直確認はレーザー水平器 + 下げ振り併用
  • 上端に「上枠材」を釘打ち(屋根パネル受け)
  • 開口部(窓・ドア)の額縁材を仮設置
壁パネルを仲間と起こす Work Party
3
Day 3(水曜)
屋根パネル + 防水
作業人数:4〜5人 / 所要:8時間

屋根パネル(厚200mm)を壁天端に載せる。最も重い工程。1枚あたり300〜500kg。単管足場を組み、チェーンブロックで慎重に吊り上げる。無理せず外注してもよい工程。

全パネルが固定されたら即日、透湿防水シート(タイベックハウスラップ)を全面に貼る。この日の夕方〜夜に雨が来ても問題ない状態にする。

  • 単管足場 組立(壁天端レベルで作業床確保)
  • 屋根パネルをチェーンブロックで順次設置
  • リッジ(棟)部の発泡ウレタン + 気密テープ
  • 透湿防水シート(タイベック)全面貼り付け
  • 屋根端部(鼻隠し)の板金仮留め
4
Day 4(木曜)
焼杉外装 + サッシ建て込み
作業人数:4人 / 所要:8時間

通気胴縁(18mm厚 縦張り)をビスで外壁に固定し、その上に焼杉を縦張りしていく。ネイルガンで1枚2秒。午前中でほぼ全面が貼れる。

午後はサッシ建て込み。開口部に水切りを施工してからサッシを入れ、外周を防水テープで巻いて水密処理をする。

  • 通気胴縁 縦打ち(455mmピッチ)
  • 焼杉縦張り(ネイルガン、上から下へ)
  • サッシ建て込み・防水テープ処理
  • 軒天(ガルバリウム板金)仮固定
焼杉(shou sugi ban)の炭化処理
5
Day 5(金曜)
気密測定 + 内装下地
作業人数:2〜3人 / 所要:6時間

気密測定器(ブロアドア)でC値を測定する。1.0を超えていたら接合部を再チェック。SIPsは正しく施工すれば0.5以下が出る。測定後、電気・配管業者に引き渡し。

  • 全窓・ドア開口部の防水テープ最終確認
  • 気密測定(ブロアドア。業者レンタル ¥1〜2万)
  • 不具合箇所に発泡ウレタン追加充填
  • 電気・配管業者へ引き渡し(チェイス確認)
  • 掃除・廃材まとめ

電気・配管は丸投げでいい。SIPsのチェイス(電線管路)は工場加工済みで、電気業者が来たら「差し込むだけ」の状態になっている。外注費は¥30〜50万。自分でやる時間と資格取得コストを考えると、外注の方がトータルで安い。

04 · 焼杉を自分で作る

外装材も、自作できる。

焼杉(Shou Sugi Ban)は「杉板をバーナーで焼いてブラシをかける」だけ。材料費は¥1,000/m²以下。業者に頼むと¥5,000/m²以上するから、DIYで最も費用効果が高い工程の一つだ。

焼杉を自作する — バーナーで炭化
炭化処理

プロパンバーナーで表面全体を均一に焼く。焼きすぎると割れる。20〜30秒/面が目安。

焼杉外装 完成状態
完成状態

焼いたら水洗い→ブラシがけ→亜麻仁油。30年以上メンテ不要の外装が¥1,000/m²で完成。

焼杉 自作 手順
1
杉板を用意(厚12〜15mm、幅90〜120mm)道産スギが理想。乾燥材(含水率15%以下)を使う。生材は反りやすい。価格:¥300〜500/m
2
プロパンバーナーで均一に焼く距離10〜15cm、ゆっくり動かす。表面が黒くなったら反転。焼きすぎると板が薄くなるので注意。
3
水で冷まし、スチールブラシをかける木目に沿って強くブラシがけ。ルーズな炭粉を落としながら木目を浮き立たせる。これで独特の凹凸が出る。
4
亜麻仁油(または柿渋)を塗布乾燥後に亜麻仁油を刷毛で薄く塗り、浸透させる。撥水性が上がり光沢が出る。完全硬化に24時間。

26m²の建物で必要な外装材は約30〜40m²。杉板材料費で¥1.5〜2万。バーナーガスが¥3,000程度。Work Partyの半日イベントとして全員で焼けば、建物に対する愛着が全く変わる。

05 · 断熱材アップグレード

EPSじゃなく、「呼吸する」断熱にする。

標準SIPsのEPSコアは気密性が高い代わりに湿気を通さない。北海道の高湿度環境では、調湿性能のある素材に変えることで結露リスクを下げながら室内環境を格段に快適にできる。

標準 EPS
¥800〜1,200円/m²
  • 断熱性能 R-28
  • 入手しやすい
  • 調湿ゼロ
  • 結露リスクあり
  • 廃材は産廃扱い
セルロースファイバー
¥2,000〜3,500円/m²
  • 調湿 MBV 2.0
  • 断熱 R-21(150mm)
  • 防音効果あり
  • 廃棄は可燃ゴミ
  • 吹込み機が必要
木質繊維ボード
¥3,000〜5,000円/m²
  • 調湿 MBV 2.5(最高)
  • 蓄熱性あり(位相遅延)
  • 完全自然素材
  • 価格が高い
  • 国内調達やや難
セルロースファイバー断熱材

セルロースファイバー

新聞紙80%リサイクル。湿気を吸って、乾いたら放す。空気がうまい。

木質繊維断熱ボード

木質繊維ボード

夏の暑さが室内に届くのを遅らせる「位相遅延」が最大の武器。

MBV(Moisture Buffer Value)とは

素材が24時間で吸放湿できる水分量の指標(g/m²/%RH)。数値が高いほど湿度の変動を平滑化する。

0.1
EPS / XPS
ガラス
0.5〜1.0
石膏ボード
コンクリート
1.5〜2.0
セルロース
珪藻土
2.0〜3.0
木質繊維
羊毛

SOLUNAの選択:コアSIPsパネルはEPSのまま構造性能を維持し、内側の仕上げ層(珪藻土 or 漆喰)とセルロース吹き込みの組み合わせで調湿を確保する。全部をやり直す必要はない。レイヤーで対応する。

06 · 格安アップグレード5選

¥10万以下で、別の空間になる。

断熱と気密が決まれば、あとは「仕上げ」だ。高い素材を使わなくても、正しい素材を正しい場所に使えば空間の質は大きく変わる。

珪藻土仕上げの内壁

01 — UPGRADE

珪藻土を塗る。
壁が呼吸する。

MBV 1.5。壁1面 3〜5時間、材料費¥5,000〜1万。エアコンの稼働時間が体感で減る。

材料費
¥1,500〜3,000/m²
DIY難易度
★★☆☆☆ 易
効果
調湿 + 消臭

既調合の珪藻土(ライムワークス、シラス壁など)はコテで塗るだけ。初心者は「なめらか仕上げ」より「刷毛引き」の方が簡単で味が出る。26m²なら壁全面で50〜70m²、材料費は合計¥10〜15万程度。

薪ストーブ — SIPsキャビン内

02 — UPGRADE

薪ストーブ一台で、
暖房費が月¥1万になる。

北海道の薪は安い。中古ストーブ¥5万+煙突工事で20年使える。

初期費用
¥15〜30万(中古¥5万〜)
年間燃料費
¥5〜12万(薪自前なら¥0)
湿度への効果
過乾燥に注意 → ヤカン常設

SIPs小屋は高断熱なので小型(5〜8kW)で十分。煙突は二重断熱管を使うこと(内部結露でタールが垂れるのを防ぐ)。薪はWork Partyで山から切り出せば燃料費ゼロ。

杉無垢床材

03 — UPGRADE

杉の床は、
断熱材でもある。

熱伝導率0.12 W/mK。コンクリートの1/8。素足で踏んでも冷たくない。

材料費
¥3,000〜6,000/m²
調湿 MBV
1.2〜1.8
DIY難易度
★★★☆☆ 中

道産スギ(厚30mm)なら¥3,000/m²前後。26m²で床面積約20m²、材料費¥6〜8万。釘打ち工法(フローリングネイル)でDIY可能。塗装は蜜蝋ワックスを推奨(補修も蜜蝋を塗るだけ)。

04 — 竹炭パネルを仕込む

壁の内側 or 床下に竹炭ボードを1枚敷く。調湿・消臭・ホルムアルデヒド吸着。ホームセンターで¥500〜1,000/枚。26m²なら床下に10〜15枚で十分。

費用¥5,000〜1.5万
MBV2.0〜3.0(最高クラス)
難易度★☆☆☆☆ 置くだけ
05 — ハイサイドライト(高窓)

壁の高い位置に小窓を1〜2枚追加。開閉式にすると「暖かい空気が上から抜ける」自然換気が成立する。エアコン不要の季節が増え、カビリスクが下がる。

費用¥2〜6万/箇所
効果換気 + 採光 + カビ防止
難易度★★★☆☆(開口加工必要)
格安アップグレード — まとめて全部やると?
珪藻土 内壁全面(26m²・壁50m²)¥10〜15万
薪ストーブ(中古)+ 煙突工事¥12〜20万
杉無垢床(20m²・DIY施工)¥6〜12万
竹炭パネル(床下・壁)¥1〜2万
ハイサイドライト 2箇所¥5〜12万
全部やっても ¥34〜61万

調湿・暖房・床・空気質・換気を全て手当てして、最大¥60万。これが建設費と合わせても¥290〜380万に収まる理由だ。

順番は:断熱→気密→換気→調湿仕上げ。この順が崩れると、調湿材を入れても意味がない。まず箱を作り、塞いで、呼吸させる。それから素材に投資する。

07 · 費用内訳

自作するといくら安くなるか。

26m²ユニット(3.6×7.2m)の場合。基礎(杭)・電気・配管は外注前提。それ以外を自作した場合のコスト比較。

業者一括発注

SIPsパネル(工場プレカット)¥120〜150万
基礎(鋼管杭)¥50〜70万
組立・建て方¥60〜80万
外装(焼杉)¥25〜40万
サッシ・建具¥30〜50万
電気・配管¥40〜60万
諸経費・管理費¥20〜30万
合計¥345〜480万

自作(電気・基礎のみ外注)

SIPsパネル(工場プレカット)¥120〜150万
基礎(鋼管杭)外注¥50〜70万
組立・建て方(自分たち)¥0(工具レンタル ¥2万)
外装(焼杉 自作)¥2〜4万
サッシ・建具(施主支給)¥20〜35万
電気・配管 外注¥35〜55万
消耗品(ウレタン・テープ等)¥3〜5万
合計¥230〜320万

自作による節約額:¥100〜160万
Work Party 1回で1棟分の節約が生まれる。節約分がそのまま次の棟の材料費になる。

08 · 法的事項

北海道で建てるなら何が必要か。

弟子屈・釧路管内での建築に関する主な法的要件。SOLUNAが確認済みの事項を整理した。ただし個別案件は必ず専門家に確認すること。

上記は参考情報です。建築確認・農地転用・旅館業法の手続きは行政によって異なります。必ず建築士・行政書士・管轄行政窓口に確認してください。 SOLUNAは設計士と連携した申請サポートを提供する予定です。

SIPsパネル接合部への発泡ウレタン充填

気密の核 · FOAM SEALING

発泡ウレタンを打てば、
北海道の冬は関係ない。

パネル接合部の1mm隙間が、年間10万円の暖房費になる。充填は惜しまない。

SOLUNA — Work Party

自分が建てた壁の中で
眠る。

¥100万を節約することより、
自分の手で建てたことの方が
ずっと長く記憶に残る。

Work Party に参加 → SIPs工法を詳しく見る